
福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会 (中公新書 2873) 新書 – 2025/9/19
加藤 喜之 (著)
4.3 5つ星のうち4.3 (141)
アメリカにおける福音派の巨大な存在感は、近年よく言及される。しかし、彼らはどのように影響力を拡大し、トランプ大統領の誕生や再選、あるいは政治的・文化的闘争に関係していったのか。
本書は、第二次世界大戦後のアメリカの軌跡を、福音派とその背景にある終末論に着目して描き出す。
そこからは大統領の政治姿勢はもとより、中絶や同性婚、人種差別、イスラエルとの関わりなど多くの論点が見えてくる。
■目次■
まえがき
序 章 起源としての原理主義
第1章 「福音派の年」という転換点――1950年代から70年代
1 原理主義者と福音派のはざまで
2「福音派の年」とカーター大統領
3 終末に生きる選ばれし者たち
第2章 目覚めた人々とレーガンの保守革命――1980年代
1 政治的な目覚め
2 モラル・マジョリティの誕生
3 レーガン政権と福音派のせめぎ合い――保守革命の裏で
第3章 キリスト教連合と郊外への影響――1990年代
1 パット・ロバートソンの政治戦略
2 フォーカス・オン・ザ・ファミリーと伝統的家族観
3 クリントンの信仰と六〇年代の精神
4 ウォルマートとメガチャーチの止まらぬ拡大
第4章 福音派の指導者としてのブッシュ――2000年代
1 ボーン・アゲイン大統領とネオコンの思惑
2 九・一一と小説のなかの終末論
3 信仰の公共性
4 スキャンダラスな福音派と右派の失速
第5章 オバマ・ケアvs.ティーパーティー――2010年代前半
1 初の黒人大統領と福音派左派
2 オバマ・ケアと中絶問題
3 ティーパーティー運動
4 アメリカ建国偽史
5 高まる人種間の緊張
第6章 トランプとキリスト教ナショナリズム――2010年代後半~
1 白人とイスラエルの味方として
2 保守化する司法と中絶・同性婚問題
3 キリスト教国家と非宗教者
終 章 アメリカ社会と福音派のゆくえ
あとがき
主要参考文献
略年表
主要人名索引
■書評掲載■
・日本経済新聞(夕刊)2025年10月16日/入山章栄(経営学者)
・週刊AREA10月6日号/刈部直(政治学者)
・東京新聞(夕刊)2025年10月29日
・毎日新聞(朝刊)2025年11月1日/三宅香帆(文芸評論家)
・沖縄タイムス(朝刊)2025年11月1日/著者インタビュー
・読売新聞(朝刊)2025年11月2日/佐橋亮(国際政治学者・東京大教授)
・週刊ポスト2025年11月28日・5日号/松尾潔(音楽プロデューサー・作家)
・週刊ポスト2025年11月28日・12月5日号/松尾潔(音楽プロデューサー・作家)
・信徒の友2026年1月号
・産経新聞(朝刊)2025年12月14日/松本佐保(日本大教授)
・旬感ノートnol.34
・公明新聞2026年1月19日/中野毅(創価大学名誉教授)
・週刊文春2026年1月29日号
・朝日新聞(朝刊)2026年1月31日/藤本龍児(帝京大学教授/社会哲学・宗教社会学)
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著者について
加藤喜之
立教大学文学部教授.1979年愛知県生まれ.2013年,プリンストン神学大学院博士課程修了(Ph.D取得).東京基督教大学准教授,ケンブリッジ大学クレア・ホールやロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの客員フェローなどを経て,現職.専門は思想史,宗教学.
共著『記憶と忘却のドイツ宗教改革』(ミネルヴァ書房,2017年),『ルネサンス・バロックのブックガイド』(工作舎,2019年),Petrus van Mastricht (1630-1706): Text, Context, and Interpretation(V&R,2020年),『日本史を宗教で読みなおす』(山川出版, 2025年)など
登録情報
出版社 : 中央公論新社
発売日 : 2025/9/19
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日本から
Voice training
5つ星のうち5.0 今のアメリカが良くわかる
2026年2月24日に日本でレビュー済み
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現代のアメリカの実情が良くわかる。アメリカに引きづられて、世界がどう変化するか?気になるし、注視しなければならない。
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しばいぬ
5つ星のうち4.0 福音派の歴史分析が魅力的
2026年2月21日に日本でレビュー済み
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良く分析されている
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マッスー
5つ星のうち5.0 同盟国なのに日本人が知り得ない知識。
2026年1月27日に日本でレビュー済み
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「福音派」
一終末論に引き裂かれるアメリカ社会
著作 加藤喜之
福音派
この本は
アメリカ合衆国における福音派が、社会政治にどのような影響を与えてきたかを、特に終末論(世界の終わりや再臨への信念)という観点から読み解く本です。
著者の加藤喜之さんは立教大学の宗教学、思想史の専門家で、プリンストン神学大学院博士課程修了の研究者です。
本書はアメリカの歴史・政治を福音派の影響とともにたどる構成になっています。
序章:福音派のルーツと原理主義との関係からスタート。
・第一章〜第六章
○1950〜70年代の福音派勢力化
○レーガン政権時代の政治的台頭
○メガチャーチや家族観重視の文化運動
○ブッシュ政権と「信仰の公共性」
○オバマ時代の福音派内部の多様化
○トランプ時代のキリスト教ナショナリズムと
終末論的思考
・終章:現代アメリカ社会における福音派の行方と
その終末論が社会分断にどう絡んでいるかを
総括しています。
本書の視点と特徴
○宗教と政治の交差
アメリカにおける福音派は単なる宗教集団ではなく、大統領選挙や中絶、同性婚、人種、イスラエル政策など主要な社会問題と深く関わってきました。
○終末論を焦点にするアプローチ
福音派の多くが聖書に基づく終末論的な世界観を持っており、それが現実の政治行動や社会的価値観に影響を与えているという「宗教的な動機」を重視しています。
○時代を追う分析
カーター、レーガン、クリントン、ブッシュ、オバマ、トランプといった現代アメリカ政治の流れを福音派の立場と絡めて解説しています。
この本は次のような方におすすめです。
○アメリカ政治、社会の背景にある宗教要素を理解し
たい人。
○キリスト教福音派の歴史と思想が現代にどう影響し
ているかを知りたい人。
○終末論や宗教とナショナリズムの関係に興味がある
人。
最後に一言
神のシナリオを本気で信じた人達が、アメリカの政治と社会をガチで壊したり動かしているお話でした。笑
なぜ政治って国民の求めている方向から真逆に突っ走るのかナゾ。世界中がそう。どうして。
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西澤清
5つ星のうち5.0 世界を牛耳るキリスト教価値観が分かった
2026年2月5日に日本でレビュー済み
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日本では宗教教育が学校では行われていない。そのため宗教の教義に無関心だ。しかし、活動は野放図だ。アメリカはもちろん日本社会もキリスト教の価値観で席巻されていることがよくわかりました。
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24601
5つ星のうち4.0 選挙による権力獲得の合理化
2026年1月30日に日本でレビュー済み
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福音派の歴史が知れた。原理主義とは異なることも。
トランプ大統領以降の内容はそれほど詳しくなく、政治ニュースを注意深く見ていれば知っているはずのものだった。
終末思想についてはもう少し詳しく知りたかった。
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美しい夏
5つ星のうち5.0 登場する著名な伝道者、活動家、思想家を、登場頁の数の多い順にまとめてみました。
2025年12月7日に日本でレビュー済み
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一、あれこれ
アメリカの「福音派」の歴史をダイナミックに、適度に詳細に、興味深く著述してくれた貴重な新刊新書である。年代順に進行し、その時代の大統領が絡んでくるので、本自体は難解ではないのだが、アメリカでは著名でも、平均的日本人にはほとんど馴染みのない、伝道師、思想家、活動家が次々と登場するので、スラスラとは読めず、だんだん疲れてくる。
二、まとめ
それで、読後の復習を兼ねて、登場する著名な伝道者、活動家、思想家を、登場頁の数の多い順にまとめてみた。数え間違い、誤記ご容赦。
第一位計51頁、ビリー・グラハム・・第1章、五十年代の宗教復興を牽引した伝道者。
第二位計43頁、ジェリー・ファルウェル・・第2章、八十年代のモラル・マジョリティ運動の指導者、牧師。
第三位計32頁、パット・ロバートソン・・第3章、九十年代のキリスト教連合のテレビ伝道者。法科大学院卒業し、司法試験に失敗し、回心体験を経て、聖職者に。ラルフ・リードを発掘。
第三位計32頁、ジェームズ・ドブソン・・第3章、九十年代、小児科医、厳しいしつけの本がベストセラーとなり、自分のラジオ番組で厳格な性的モラルを主張して大人気となり、巨額の予算規模で政治活動を展開。
第五位計21頁、R・J・ラッシュドゥーニー・・第2章、八十年代の保守政治宗教運動の中心にいた思想家。世俗主義に対抗し、キリスト教再建主義(世界をキリスト教的に再建し、支配する)を唱えた。原理主義的すぎて、福音派の内部でも敬遠気味だったが、思想的には大きな影響を残した。
第六位計20頁、ラルフ・リード・・第3章。九十年代以後。キリスト教連合を率いて政治活動を大展開したのち、共和党のロビイストとなる。
第七位計19頁、フランシス・シェーファー・・第2章、原理主義者の宣教師。七十年代から八十年代に本を書き、映画を作り、中絶反対等の政治運動を展開。
第八位計13頁、ポール・ワイリック・・第2章、八十年代。モラル・マジョリティ運動の指導者のひとり。保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の創始者。
第八位計13頁、グレン・ベック・・第5章、2010年代前半。大人気保守系ラジオパーソナリティにして、実質的にティーパーティー運動を牽引するキーパーソンの一人。
第十位計11頁、リチャード・ランド・・第4章、2000年代前半。南部パプテスト連盟で政治問題を扱う部局の代表にして、連邦支局の委員会の長官。イラク戦争を始めたブッシュに正戦の基準と、フセイン早期打倒を説く公開「ランド書簡」を送る。
第十一位計9頁、フランクリン・グラハム・・第4章、ビリー・グレハムの息子の福音派。2000年代前半のイラク戦争では、イラクに入国し不況。トランプ政権下ではトランプに近い福音派。
第十一位計9頁、ジェームズ・ケネディ・・第2章、八十年代前半、フロリダの大教会の牧師で、有力な福音派指導者。上記のブッシュあて「ランド書簡」にも署名。
第十一位計9頁、ジョン・グレシャム・メイチェン・・序章。1920年代の代表的原理主義者。神学校教授で、著書でリベラル神学を徹底的に批判。主流派の教団から分裂して教団を作る。
第十四位計8頁、ハル・リンゼイ・・第1章。福音派の作家。七十年代。聖書の予言についての著作で、イスラエルの運命を扱い、ベストセラーとなる。
第十四位計8頁、ティム・ラヘイ・・第4章。九十年代。牧師で、保守派のシンクタンクの創設者だが、大衆作家と共著で、世界中から人が消えていく(神に携挙される)終末の世を生き抜いていく主人公たちを描く大長編シリーズを書き、99年に第五作がベストセラーとなってブレイクし、全十六巻まで続く。終末論ディスペンセーション主義に依拠した作品だが、読者層の半数以上が福音派と関係のない人々であった。
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ボーン・ウイナー
5つ星のうち3.0 要注意:面白くないですよ
2026年2月14日に日本でレビュー済み
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現在のアメリカの政策は余りにも酷い。
すべての悪の根源はトランプにあると思うが、そのトランプが信仰しているキリスト教福音派とはどんなものか知りたくて本書を購入。
1月末に買ったのだが、面白くなくて、なかなか読み進めることができず、やっと昨夜読み終えた。
読み終わって、振り返ると、本書を一貫して流れているのは、福音派の解釈では、聖書には旧約と新約ががあり、旧約はユダヤ人に対して書かれたものだ。したがって、世界はこの旧約の世界からまだ抜け出しておらず、世界は終末に近づいている。この世界の流れに逆らうものは悪魔だそうだ。
この理論で言えば、トランプのイスラエル(ユダヤ人)擁護も分からぬではなし、トランプの政策に反対するのは悪魔なのだろう。この本では福音派とは一貫してこの立場であると書いている。
聖書の世界から逸脱した、LGBTQや人工中絶には絶対反対。
こんな立場だと、世界はありのままにすべしというトランプの政策、例えば地球温暖化防止などは自然の流れに逆らう政策なのだろう。
本書では、福音派にも色々な考え方があり、全部がトランプとは同じでないことをクドクドと説明しているが
どうも私にはキリスト教の中のカトリックとプロテスタント、そのプロテスタントの中にも色々な分派があることなど
類似の本も読んでみたがサッパリ頭に入らない。退屈なだけで途中で放り出したくなる。
最後に私の感想。トランプと言う男を理論で説明しようとしても無理な話で、その時その時、アメリカの利益になるかならないか、自分の名誉欲を満足させられるかどうか、ノーベル平和賞を持っ貰えるかどうかなど、極めて利己的に政策決定をしているので、宗教で説明しようとするのは無理なのではないかと思う。
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faito mt
5つ星のうち5.0 米国人は本当に宗教信じているの?
2026年1月31日に日本でレビュー済み
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本書自体は、面白く読み得るものもあったが、はたしてキリスト教が今のアメリカ人の心を本当にとらえているのか疑問である。というのもテレビニュースやユーチュブチャンネルによる現在のアメリカの状況見ていると、ニューヨーク地下鉄の無賃乗車が多いなど、治安が悪く、町中で薬物中毒者が多く、銃撃の音も珍しくない、麻薬の匂いも多いとの情報であふれているので、本当にアメリカの多くの国民はキリスト教の影響下にあるのか疑義がある。もちろん彼らは下層グループだから政治に関係ないのだろうが、それにしても我々の目からすると非常に不健全な社会だ。単にアンケートで私はキリスト教徒とする回答のみで、キリスト教を信じている人が多いとするのは疑義がある。本当にキリスト教だけでなく宗教を信じている人が多いならアメリカ社会はもっと健全だろう。アメリカ社会でのキリスト教の影響は非常に小さいと考えるべきではないか?
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海千山千
5つ星のうち4.0 満足です。
2026年1月20日に日本でレビュー済み
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満足です。
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sososo
5つ星のうち4.0 政治的文脈以外の側面が希薄
2025年12月25日に日本でレビュー済み
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米国の政治的文脈(とりわけ闘争的文脈)において福音派を自認する誰がどのようなことを語り誰と繋がったのかが豊富な情報量で整理されています。
他方で、そうした政治的文脈や米国の社会的背景をいったん離れ、キリスト教の教説が福音派的な傾向を自己増幅させる面があるのかどうかという思想内在的な読み解きもして欲しかったところです。
福音派の語りは米国の政治社会だからこそ生み出される魔物なのか、キリスト教ならではの教義の極性化なのか。
同じ米国社会の知的傾向を扱いながらも森本あんり『反知性主義』の深い思想理解には今一歩及ばないという読後感でした。
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==
Amazon カスタマー
5つ星のうち5.0 おもしろい
2026年1月15日に日本でレビュー済み
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多くの日本人にとってカトリックもプロテスタントもイスラムも概要は掴めても、理解は難しい事を改めて理解した本
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fjtn
5つ星のうち4.0 教理的なアプローチの必要性
2025年12月3日に日本でレビュー済み
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各種宗教政治団体を中心に構成されていくので政治学的なアプローチなのかなと思う。(それも必要とは思うのでそれはよい)
キリスト教の教理に踏み込まないことで逆に分かりにくさも出てると思われる。
終末論の件でディスペンセーション主義とラッシュドゥーニーのキリスト教再建主義の対比が繰り返されるが逆にぴんと来ない。
これって千年王国説の話だよなと調べるとやはりディスペンセーション主義は前千年王国説(キリストの再臨後に千年王国がある)でキリスト教再建主義は後千年王国説であるとのこと。(伝統主流派は無千年王国説)
千年王国説の話は彼らの固有の説ではなく、ただ継承してるだけなので、あまり説明がうまくないなと感じる。
無批判な権威主義を懸念されてますけど、キリスト教(福音派も含めて)があんなに内部で揉めてる歴史なのにそんな簡単にこの宗教が無批判になりえないと思うけどね。王権に対する警戒とかかなり強いですし。(そもそも反・知性主義でリバタリアンですから)終末論でいうと反キリストという概念もありますからね。
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ぱすと〜る
5つ星のうち5.0 聖書の福音のエッセンスに立ち戻りましょう
2025年11月20日に日本でレビュー済み
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トランプ大統領が、多様性や公平性や包括性(差別がないこと)に立った思考や政策を執拗に攻撃するのは、1970年代以降の福音派の流れの結果である、と著者は言います。
「福音」とは聖書に見られる神からの良い知らせのことであるから、キリスト教のどの教派も、ある意味、「福音派」と名乗りえますが、本書では、そして、一般的にも、アメリカの20世紀後半以降の政治的にも神学的にも保守的なキリスト教徒たち、というような意味合いで使われています。
アメリカ人の40%は、世界は終末に向かっていると考え、その内のさらに40%は「福音派」であり、この人びとは「現代の政治的・社会的な対立は、終末に向かう世界における善と悪の戦いの一部として理解」(p. ⅰ)していると著者は言います。
さらにその中でも、「ペンテコステ・カリスマ派」と呼ばれる人びとのなかには、「トランプを終末論的な救世主と位置づける」(p.ⅵ)者が少なくないということです。
1970年代に先立って、1950年代にはビリー・グラハムが台頭していましたが、「グラハムの活動は福音派独自の運動というよりも、共産主義の脅威に対する汎プログラム的な市民宗教の重要な一部として理解すべき」(p.33) と著者は言います。
この共産主義への恐れと、トランプの多様性・公平性・包括性への攻撃は、アメリカ保守層の地下脈でつながっているのではないでしょうか。
1990年代のアメリカでは、世界の軍事覇権と中東での権益確保を目指す政治勢力が強くなりますが、「福音派」はこの勢力を支持したと言います。福音派には「世界宣教」や「イスラエル保護」(p.147)という目的があり、それはこの政治勢力による軍事政策が役に立つからだ、と著者は言います。その政策のひとつがイラク戦争です。この政策の売り込みに福音派は加担したと言います。
イラク侵攻の目的はイラクの「民主化」とアメリカは言いますが、「イスラエルを敵対視するイラクや他のアラブ諸国を民主化し、キリスト教化することで、イスラエルを守る。これは福音派にとって、神の終末の約束に忠実であることを意味した」(p.152)と著者は言います。
「神の終末の約束」とは、創世記12:3「あなたを祝福する人をわたしは祝福し、あなたを呪う者をわたしは呪う」という約束のことで、「あなた」はイスラエル民族の祖先であるアブラハムを指します。
旧約聖書の物語においては、この約束は紀元前1800年くらいに位置付け得ますが、福音派は、その3800年後の現代において、イスラエルという軍事国家に適用しているのです。聖書で述べられているイスラエルの民と、現代社会の軍事国家イスラエルを同一視すべきではないでしょう。
著者はまた「キリスト教シオニズム」という考えを紹介しています。これは、「世界の終わりに多くのユダヤ人がイエスを通して救われる・・・ただしユダヤ教を信じているだけでは救われない。イエスが神から送られたメシア、つまり救い主だと信じなければ、他の不信仰者と同様に地獄送りとなるのが、キリスト教シオニストたちの共通理解であった。ここでいうキリスト教シオニズムとは、特殊な終末論を信じる福音派によるイスラエル国家支援を指す。このことから、福音派のイスラエルの熱意は、実はユダヤ民族の繫栄や福祉を求めるものではないとわかる。彼らにとってイスラエルは・・・イエスの再臨をもたらす重要な鍵の一つでしかない。イスラエルが世俗国家として繁栄することや、ユダヤ民族が自らの望む生き方を選択することには、彼らは関心を持っていないのである」(p.155)と言うことです。
本書を読んで、驚いたのは、聖書理解が保守的であるという意味では福音派に属するけれども、社会の不公平や正義の是正に関心のある神学者であるとわたしが認識していたロナルド・サイダーとジム・ウォリスらがブッシュ(子の方)に投票したり支持したりしていたことです。彼らはブッシュの貧困対策などに期待したそうですが、その期待は裏切られたようです。
「「キリスト教国アメリカ」は、白人のアメリカなのだ。政権に座する初の黒人大統領は、このアメリカを否定する最大の力として福音派には感じられた。溜まり続ける白人たちの鬱憤は、いまや爆発寸前だった」(p.212)。
その結果、初の黒人大統領オバマの後継者にはヒラリー・クリントンではなくトランプがなったのです。黒人でも女性でもリベラルでもない、白人ウルトラ保守男性が大統領になったのです。
「福音派の歴史は、アメリカの歴史と同様に人種差別の歴史でもある・・・大部分の福音派は人種差別をあくまで個人の道徳的な問題とみなし、貧困や教育や福祉などの社会の構造的な問題として扱わない」(p.241)。
「BLM運動を支持する福音派もいる」(p.252)。「だが、大部分の福音派は、こうした動きに懐疑的だ。BLM運動には参加せず、トランプ大統領の掲げた法と秩序に共感を示すことの方が多い」(p.253)。
福音派のこの差別はパレスチナの住民にも向けられています。福音派には「ヨルダン川西岸地区や東エルサレムを、神に約束された正当なユダヤ人の土地だとみなす」(p.232)人びとが少なくないようです。
「終末論を信奉する福音派にとって、政治による中東和平など眼中にない」(p.238)。
彼らにとって、「終末」は、自分たちの信仰は「正しい」と自認する彼らが最終的に「救われる」時であり、イスラエルのパレスチナ抑圧や攻撃を支持するのは、自分たちが「救われたい」からなのです。エゴイズム、攻撃、抑圧に抗い、自分よりも他者を大切にする愛に生きたイエスの生き方とはまったく無関係なのではないでしょうか。
彼らにとって自分たちが救われる「神の終末の計画は、イスラエルの地、とくにエルサレムを中心としたヨルダン川西岸地区を中心に成就されることが決まっており、それを妨げるものは何であっても許されないからだ。トランプ大統領らは、こうした福音派の傾向をよく知っていたがゆえに、政治利用することに余念がなかったのだろう。だが、それ以上に福音派の傾向をよく心得ているのは、ネタニヤフのようなイスラエルの政治家たちであり・・・犠牲になるのは、いつもこの地域の平和であり、多くのパレスチナ人だ」(p.238)という著者の言葉には全面的に共感します。
「過去の白人キリスト教ナショナリズムは、支配的多数者としての自信に基づき、少数者を差別する形態を取っていた。対して、今日のそれは、社会的影響力の喪失への危機感と、既得権益を奪われつつあるという被害者意識に基づいている。この変化の背景には、白人キリスト教徒の人口比率がアメリカ社会全体の半数を下回るという人口動態の変化がある」(p.251)。
「被害者意識」とありますが、これは日本でも「在日特権」というヘイトの言葉や、社会福祉を受けている人びとに「あの人たちは得をしている」というニュアンスの言葉にも見られるように思います。
「福音派の影響力は形を変えながらも、米国の社会構造の中に持続的な痕跡を残し続けており、リベラルな民主主義への挑戦は、まさに終わりなき戦いとなっている」(p.286)。
福音派の保守的で人権を尊重しない政治姿勢は「民主主義への挑戦」と著者は指摘しています。
「福音派がもたらした終末論的な対立は、リベラリズムの根幹を破壊する可能性を持つ。なぜなら、リベラリズムが機能するためには、言論活動を通して合意や妥協点が見出せるという前提が必要だが、基本的に現在の福音派はこの前提を共有していないからだ。むしろ福音派は、終末論的な世界観のなかで、対立する相手をサタンや悪魔の支配下にあるとみなす傾向があり、妥協が困難になる」(p.284)。
信じる者にとって、神は「正しい」存在ですが、「神は正しい」という思いや考えは、「正しい神を信じる自分は正しい」となりがちです。また、「自分は正しい」となると、自分と異なる思いや考えには不寛容になります。また、自分の救いが大事であり、「正しい信仰」を持たない者は救われない、さらには、永遠に火で焼かれる、滅ぼされる、という考えになってしまいます。
聖書にも信仰を持たない者は救われないというような個所もありますが、聖書の「福音」のエッセンスは、これとは正反対のものでありましょう。聖書の「福音」の最良のもの、もっとも深い愛のメッセージに立ち戻りましょう。
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brandon
5つ星のうち3.0 進化論を信じない人達が世界を動かすのはどうなのか
2026年1月10日に日本でレビュー済み
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政教分離ではないのだろうか、と、ふと思った。でも、アメリカは、土着の信仰を除けば、やはり、キリスト教の国家なのだろうし、そもそも、ヨーロッパの国にはキリスト教に関係が強い国も多い。
でも、驚きなのは、進化論を信じていない人々がある程度 いるという事実。政治は、その人々を使うのか。強く宗教 信じている人の想いは、政治とは関係なくやって欲しいものだ。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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佐々木広治
5つ星のうち5.0 トランプの背景
2025年12月23日に日本でレビュー済み
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題名から分かるとおりアメリカの「福音派」が取りあげられ、そこの教義に「ディスペンセーション主義」というものがある。本著のまだ初めの方(序章)に出てくるものだが、私はすぐに呑み込めずに引っかかり先へ進めなくなった。キリスト教を独学ながらそれなりに学んできたはずが未知の部分のある教義であったから。ディスペンセーション神学が主張する、旧約聖書の扱い、聖書は七つに「体制」を別けて記録されているということ。聖書は旧約、新約とあり、われわれは当たり前のように流してしまうが、意外とこれが旧い契約、新しい契約という意味であることを知らない人が多い。これはあくまでもキリスト教から見た、決めつけた区分けにすぎず、キリストによって新しい契約がおこり、以前のものは廃れたというようなもの。であるはずなのだが、ディスペンセーション主義では旧約をキリスト教による「乗っ取り」を認めずに、旧約に書かれてあるとおりにユダヤ民族に向けて記されたことを肯定する。この教義は私はよいと思うが、されど、イスラエル支持はここにも根拠がもたされてあるのだろうしと思われ(まだ先を読み進めていない時点で)、またユダヤ人の支援を取り付けるためという思惑があったものとのことで、現実的に実際そういうものだと嘆息する。大本のキリスト教自体の成立が、何も純粋な理念のみではないわけであるし。その他に七つの体制(ディスペンセーション)も初めて見聞し、違和感もあり、理解に難儀した。本著では紙幅の関係かさらっと「モーゼから始まるユダヤ民族の『体制』は五番目」とあり、それ以前の区分けはどうなっているのだろう、だとか、どう分けたのだろうか、なぞと。一は天地創造からエデンの園追放までの時代。二は洪水の前までの時代。
三は洪水後からバベルの塔を建てるも文明を散り散りにされた時代。四はアブラハムから、モーセに律法が与えられるまでの時代。そして五番目となり、六番目はイエスによって始められた体制である現代。七番目は所謂「千年王国」であり、その前にハルマゲドンがあり、そのハルマゲドンをあくまでも現実における現象として捉える。その現象とすることが、トランプが起こし問題となっているさまざまなこと。そうなんとか咀嚼し、読めてくる。元は非主流派だった彼らが独自の文化圏を構築するうえで一翼を担ったのはラジオ。この記述部分に差しかかったときに思い出されたのはスティーヴン・キングの『キャリー』の母親。記憶では原理主義者であったし、もしかするとここがモデルなのだろうか。「原理主義者たちは、ラジオという新しいテクノロジーとメディアのおかげで、大学や教団や新聞などの既存の体制とは異なる場所で、その影響力を増すことができた。伝統を重んじることの多い原理主義者たちだが、メディアの領域では貪欲なまでに近代的だったと言えるだろう。この構図は、主流派のメディアや大学では相手にされない陰謀論や極右思想が、インターネットという新しいテクノロジーとメディアを通じて広まっていく現代のあり方によく似ている。」原理主義が福音派を名乗るのはリブランディング。やはり黒人、ユダヤ人、カトリックへの拒絶感というのか嫌悪感というのか憎悪、つまり恐怖が根底にあるものが土台としてあるらしい。同胞に引寄せて考えてみれば、宗教という概念だとか外国人、ということになるだろうか。そう、原理主義もしくは福音派に留まらぬアメリカ人の深層にあるものであるようだ。一九五〇から七十年代のキーパーソンたち、ビリー・グラハム、ジミー・カーター、ハル・リンゼイ。リンゼイの著作は「ハルマゲドン」という言葉が人口に膾炙する上で一翼を担い、オウム真理教の教義の形成にも影響をあたえたと考える研究者もいる。八〇年代、「世俗化の波を前にして、これまで一貫してあった原理主義者たちが、攻勢に転じていく」。一九八〇年八月二十一日テキサス州ダラスで開かれた「宗教円卓会議」と名付けられた会合が、「多種多様な保守的なキリスト教諸団体からなる福音派という大きな政治的なかたまりを生み出した一つの契機と言えるし、(略)共和党の蜜月を象徴的に表したと言ってもよいだろう。」R・J・ラッシュ ドゥーニーのキリスト教再建主義、あるいはドミニオン神学。神権政治と呼ばれることもある。レーガンの保守革命につながる一つの大きな動因になったとも言える。とはいえ、レーガンは時に福音派の意に添わぬこともしていた。福音派をさまで重視せずともすんでいた、という状態。一九九〇年代テレビ伝道者パット・ロバートソン、ラルフ・リードにより福音派の政治運動団体『キリスト教連合』が発足する。パット・ロバートソンは福音派のペンテコステ派、それがさらに現世利益的な要素が出てきてカリスマ運動、あるいはカリスマ派と呼ばれるようになる。ペンテコステ派というとジャスティン・ビーバーが有名で、そこに救いを見出だせているのであれば良いが利用されているだけなのではという私の見方は下衆の勘繰りか。福音派の政治的影響力が高まっているのであれば、いつまで共和党の言いなりになることはないとモラル・マジョリティやキリスト教連合とは違う流れが生まれ始めた。ジェームズ・ドブソンの台頭する。日本で言えば故・石原慎太郎が理想とする家庭像だとか、某女性為政者の暴言した同性愛者は生産性がないというのに通じる、というのか信念としたらしい。聖書的な世界観、それ以上に古典的な資本主義とその倫理観、それに基づいた文明観があるのは興味深いと著者は言う。「家族調査評議会」を設立。さらに「家族政策評議会」を立ち上げる。政治的な力をもつも、六〇年代の精神の体現者、カウンターカルチャーの申し子ビル・クリントンに阻まれた。とはいえクリントンも福音派。ウォルマート、メガチャージ、福音派は主流文化に影響力を及ぼすに留まらず、取って代わろうとしていた。その象徴が二〇〇〇年代のジョージ・W・ブッシュの大統領就任、福音派に黄金時代をもたらす。彼の外交政策を一手に担う集団「ネオコン」。ネオコンのシンクタンクが二〇〇〇年九月に刊行した「アメリカ防衛再建計画」において、米国の軍事力による世界の民主主義の防衛と一国覇権主義を訴え、「真珠湾攻撃のような破壊的な出来事」なしには軍備を拡張するのは難しいと予想したなか、一年後に九・一一。ネオコンの戦略通りに物事は進んでいった。著者は本著の内容上からもあろうし言及されることはないが、明らかに出来すぎだと、素人目には見える。素人目だから、と嘲られるだろうか。かつここで引っかかるのは「民主主義」という言葉。アメリカの言う民主主義とは、アメリカの民主主義でしかないし、故にどこにでも通用するものではない。なんなのだろう、この独善的、唯我独尊な有り様は。これ以前からのものでもあろうし。福音派、というのか遡ってキリスト教的な思考、発想なのだろうか。ネオコンと福音派のあいだには思想的な共通点はほとんどないが、利害が一致して結びつく。結びつけた最大の架け橋がブッシュ。「福音派のイスラエルへの熱意は、実はユダヤ民族の繁栄や福祉を求めるものではないとわかる。彼らにとってイスラエルは、携挙とイエスの再臨をもたらす重要な鍵の一つでしかない。イスラエルが世俗国家として繁栄することや、ユダヤ民族が自らの望む生き方を選択することには、彼らは関心を持っていないのである。」「右派は、イスラエル建国を終末の前触れとみなし、中東での戦争を肯定的に捉えるディスペンセーション主義を採用した。一方、左派は預言者たちの描く平和的なヴィジョン――「剣を打ち直して鋤とする」(イザヤ書二章四節)――に基づき、反戦・平和運動を展開した」。ドーヴァー裁判に関しての著者の指摘になるほどと思った。科学は人類の進歩に寄与しているが、環境破壊や人間の尊厳を奪う可能性も孕む。環境や尊厳は自然科学だけで扱うものではなく、倫理学や社会学や哲学など他の学問領域からの批判にさらされるべき。福音派の批判は、科学と宗教の点では示唆をあたえるものなのではないか、との部分に。また、私のうちで福音派やそれに類するものへの悪印象が深まる一方だったが、さりとてすべて酷いというわけでないこと、良い面は良い面として見なくてはならない、目をむけなくてはならないということに思い至らされもした。二〇〇五から福音派の主力者にスキャンダルが続いて失墜してゆき、ブッシュ政権も弱体化してゆく。そして二〇一〇年前半のバラック・オバマ。福音派の左派の支持を得る。オバマ・ケア。アメリカの保険の在り方には問題があり、オバマ・ケアでもまた。保守的な福音派らは中絶により批判、非難したそうだが、それよりも制度自体を見直ししなければならないだろうに。結局民衆のことなんぞ見ていないのだろう。万国共通だと嘆息したのが、「保守層は保守的な番組のみを視聴し、自陣営への批判的な意見は、ベックをはじめとする保守的なオピニオンリーダーたちが適切に解釈してくれる。さらにSNSの台頭とアルゴリズムの進化により、類似したコンテンツのみに触れる傾向はいよいよ強まり、彼らに建設的な批判に触れる機会を与えない。」今さらながら、という感じかもしれぬが、福音派というもの、キリスト教というものは、看板だとか錦の御旗にしかすぎないのだなぁと。それが露骨になるのが二〇一〇年後半のドナルド・トランプの登場。ポーラ・ホワイトと新使徒運動がトランプと福音派の架け橋となる。「新使徒運動」自体なかなか…酷い教義。トランプのやり方を、トビアス・クレーマーが「欧州の極右ポピュリストのやり口ゆ似ており」と書いているそうだが、意味は分かるとして、極右とポピュリストとは別のものなはずだし、そも極右なぞ民主政治ではあり得ないと私は理解しているが。昨今当たり前のように極右という呼び方がよく目にされるが。それはおき、右極化する原因、理由は日本の場合にもやはり通じる。「今日のキリスト数ナショナリズムは、過去のそれと大きく異なる性質を持っている。過去の白人キリスト教ナショナリズムは、支配的多数者としての自信に基づき、少数者を差別する形態を取っていた。対して、今日のそれは、社会的影響力の喪失への危機感と、既得権益を奪われつつあるという被害者意識に基づいている。この変化の背景には、白人キリスト教徒の人口比率がアメリカ社会全体の半数を下回るという人口動態の変化がある。 」「社会的影響力の喪失への危機感と、既得権益を奪われつつあるという被害者意識に基づいている」という部分も現代日本に通じる点。非宗教者の増加している。それはポスト近代の宗教のあり方のひとつと分析される。福音派の「政治化する終末論や人種主義」に抗する福音派の少数派である「反対者」。福音派の問題点とは、意に添わぬものは悪魔、サタンとし対話が成り立たずにリベラリズムの根幹を破壊する恐れがあること、と説く。ここでいうリベラリズムとはアメリカ的という謂いであるのだろうか、そういう特殊な色づけのないものなのだろうか。やはり繰り返しになるが、看板だとか錦の御旗としてキリスト教を掲げてある営利団体としてしか私には見えない。それを本著により鮮明に見せていただいた。
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冬川 亘
5つ星のうち5.0 トランプ氏の実像
2025年12月13日に日本でレビュー済み
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既読のトランプ現象解読書のなかでは出色だった。未知・再確認の知識が多々あったが、日本人として知っておくべき二点、現今アメリカを席巻しているタイプの終末論(キリスト教シオニズム)の発祥は19世紀英国、二枚舌宣言で悪名高い外相バルフォア氏はその神学の直接の影響を受けた。もう一つはレーガン政権のスローガンだった「Make America Great Again」をトランプ氏は演説から程なく商標登録したという事実。若き日、邦訳ドストエフスキー全集二つの二度の完読の印象は今なお僕の世界観の一部で、エンタメ英書翻訳の半世紀一度もそのレンズが曇ったことも解像度が落ちたこともなく研ぎ澄まされ鮮明になるばかりだった。
リアルなのは白昼堂々演じられる『悪霊』の世界。カーター、レーガン、ブッシュ(子)、クリントン、オバマの「信仰告白」と居並ぶ大審問官、見守る異端審問官が有権者たちの世界。著者に敬意を。
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パパ
5つ星のうち3.0 宗教を超えた福音派
2025年12月20日に日本でレビュー済み
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予備知識がないと難しい。
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ブント
5つ星のうち5.0 トランプ現象の背景
2025年11月13日に日本でレビュー済み
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なぜ伝統的な反ユダヤ主義であるアメリカのキリスト教徒がイスラエルを支持するのか、なぜあれほど道徳と無縁なトランプをキリスト教徒たちが支持できるのか?その鍵はアメリカの福音派にあった
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曇り雨のち晴れ
5つ星のうち5.0 今のアメリカの不寛容な分断と混乱の背景を理解するために
2025年11月2日に日本でレビュー済み
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アメリカの現在の分断、混乱の背景を探る。その大きな要因・勢力として「キリスト教福音派右派」の台頭・存在、考え方、活動の仕方および、その影響力を分析してくれている。それを理解することで、トランプ現象、その信じられない言動、傍若無人なことを平然と遣って退けるメンタリティーの一端を垣間見せてくれる。
「キリスト教福音派」の福音とは原義は「救い主イエスの到来を意味し、”良い知らせ(福音・エウバンゲリオン)”を指すようだが、アメリカの歴史の中で独自の発展を遂げ、特殊な宗教集団」を意味するとある。
彼らの考え・信仰は、神、イエス、聖書を絶対視し、進化論の説を否定し、神が創造主であるということを狂信的に信仰し、それを個人の内面だけにとどめないで、アメリカはキリスト教国であるとする。アフガニスタンのタリバンがイスラム教を絶対視し、それを国のあらゆる領域に適用しているさまと同じである。
つまり、キリスト教が絶対・唯一の「善」であり、その他は汚らわしい「悪魔・サタン」であるとする。そして、「奴らがアメリカ白人社会・キリスト教の価値観を、浸食し、堕落させてた。したがって、いずれ、イエス・キリストが再来し、そう言う奴ら(異教徒、異人種、無神論者など悪魔)をことごとく一掃し(ハルマゲドン)、大混乱ののち「良きアメリカ」が復活すると信じている。つまるところ、キリスト教白人の世界が生き残るという非常に排他的・原理主義的・不寛容・過激な考え・信仰を絶対視しているという。
イスラエルのネタニアフがパレスチナ人を虐殺していることと同根に感情と善悪二元論で、片づけて平然としている姿と同義の様である。ネタニアフ政権は、ガザ・ヨルダン川西岸地区から、パレスチナ人をすべて追い出し、大イスラエル構築へ侵攻している同根の信仰・思想である。
それは、キリスト教白人社会を壊され、堕落させ、福音派が考える価値観、アイデンティティー、文化を破壊されているという「恐怖感、嫌悪感」に裏打ちされているので、理屈ではなく、感情的な悪寒のレベルであり、見境がない言動として現れ、さらに、それを実際の言動となって噴出している様である。
したがって、アメリカは福音派左派も含むリベラル(多様性を認め、寛容)勢力と、真っ向から対立し、分断されているという。
今のアメリカを理解するための一書になっていると思う。
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熱い
5つ星のうち3.0 ありがとう!
2025年10月3日に日本でレビュー済み
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わかりやすく時代順に整理し、論点を明確に提示している点は評価に値します。しかし同時に、あまりにも単純化された描写や決め付け、著者自身の先入観に支配された論述が目立ちます。とりわけ「福音派」という言葉を用いる際には、本来の健全な意味が歪められてしまわないよう、細心の注意を払う必要があると思います。「福音派」と言っても一律にできないと思います。
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久永公紀『切り札中の切り札としての権利』・『意思決定のトリック』・『宮沢賢治の問題群』
5つ星のうち5.0 差別を是認する教義/物語なんですね。
2025年10月19日に日本でレビュー済み
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著者によれば、トランプやその取り巻きの行動の背景には、差別を是認する福音派の教義/物語があるとのこと(だと思います)。米国の政治と福音派の関係の歴史を詳しく説明していて興味深い内容でした。
トランプを支持(つまり差別を許容)する人が、立憲民主主義(誰もが対等なことが前提)の牙城だと思っていた米国に半分近く存在するのに驚きますが、日本も実は五十歩百歩という気もします。
人は誰であれ多かれ少なかれ差別・虐待性向はあるし、特に余裕が無くなると、差別・虐待性向が顕在化しやすい。一方、人々は差別・虐待性向を抑制するため、人権/民主主義の概念を育んできています。
ちょうど昨日(2025年10月18日)、全米で「ノー・キングス」をスローガンにして700万人が参加した反トランプデモがあったとの報道がありました。米国が差別先導国にならないことを願うと共に、日本もそうならないように声を上げ続ける必要があることを改めて感じています。
久永公紀『切り札中の切り札としての権利』・『意思決定のトリック』・『宮沢賢治の問題群』
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無気力
5つ星のうち5.0 政治的に大きな影響力を及ぼすようになった福音派とはどのような存在なのか
2025年10月5日に日本でレビュー済み
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「当初、彼らの活動は、政治や産業や学術エリートから一顧だにされない傍流のものだった。むしろ嘲笑の的だったと言ってもよい。だが、福音派は、多数の教会員を政治的に組織し、最新のメディアを駆使し、独自の世界観とイデオロギーを構築することで、着実にアメリカ社会の主流文化に影響を与えるようになっていった。」(本書ⅳ-ⅴページ)と、「まえがき」に記されているが、この傍流からまさに本流に踊り出てアメリカ政治に大きな影響を及ぼすようになる、その過程を丁寧にまとめた書である。
「起源」を書いた第1章の後に、第2章「目覚めた人々とレーガンの保守革命」があり、以降は第6章「トランプとキリスト教ナショナリズム」まで、政治との関わりを中心として福音派の活動が描かれている。
福音派と言っても単純に括れるものではなく、多様な立場が包含されるところ、指導的な役割を果たしたキーパーソンや団体を中心に、それ以外のそれこそ傍流にも目を配りながら、福音派の実相を把握しようとした意欲的な書であると評せる。ただ、最近の福音派に対する著者の幾ばくか否定的なスタンスからの記述が気になることもある。それでも、総じて、福音派とは何かを知るということでは極めて有用であることにはかわりはない。
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bluegoat
5つ星のうち5.0 そら恐ろしいアメリカの現実
2025年10月12日に日本でレビュー済み
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なぜ多くのアメリカ人が福音派の教えを信じ、トランプ大統領を支持するのかが知りたくてこの本を読んだ。福音派の成り立ち、政治との関わり等が詳しく書かれている。しかし理由について納得できないのは私が異国人、異教徒故か。
しかし現実のアメリカでは福音派が大きな力を持っているのは事実で、本書はこれを理解するのに大いに役立つ。
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あずま屋z
5つ星のうち5.0 近所で増えています。
2025年9月30日に日本でレビュー済み
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周囲に福音派の信者の方が(信仰を隠して入植)増えていて脅威を感じています。
彼らにとって今の世は末法の世であると、理解しました大変勉強になりました。
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太郎
5つ星のうち2.0 宗教に半ば依存しながらの著作
2025年11月7日に日本でレビュー済み
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アメリカの世情を客観的な事実から宗教のみを抽出して解説している。
福音派についての解説は福音派に対して必要以上に好意的かつ詳細だった。
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mascarades
5つ星のうち2.0 印象ほど中立的な本ではない
2025年12月30日に日本でレビュー済み
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中立的な記述に徹しているが、「分極化」や「構造的不正義」など、左翼のターミノロジーを無自覚に使い回しているように見受けられるのはいただけない。終末論もやたら福音派に結び付けられているが、直近で最も影響力のある終末論はむしろ気候変動警告主義 climate alarmism だろう。
気候変動に懐疑的な意見をもつものには、あたかも「ホロコースト否定論者」を想起させる denialist とレッテルを貼り、これを悪魔化する点において、この説の支持者である「未来思い」なリベラル知識人と主流メディアの語り口は、著者が福音派の名で非難めいて著述しているそれと瓜二つである。右派が醸成しているとされる「暴力」の機運も、ドナルド・トランプやチャーリー・カークが「現実に」暗殺または未遂にあった事実を踏まえると、まだかわいいものかもしれない。
典型的な学者の書いた入門書であり、ていねいに「信頼できるソース」にあたって真面目に書けば書くほど、知らず知らずのうちに偏った政治的立場の言説を拡散する結果となっている。完全に著者一人を責めるわけにはいかないが、この本が福音派およびアメリカの政治的右派に関して、予断や先入見込みの一面的な記述に終始している旨は、しかと押さえながら読まれるべきだ。
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hist124
5つ星のうち1.0 一面的に過ぎる
2025年10月17日に日本でレビュー済み
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左派に視点から書かれており、参考にならない。右派にも右派の理論があるんだろうから、それを丹念に調べて紹介しないと一面的なものの見方しかしていないという印象しか与えない。
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楊蘇
5つ星のうち2.0 他の情報源が必要です
2025年11月25日に日本でレビュー済み
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まず結論から言えば、この本だけを読んでも、手に入るのは偏った見方だけです。
著者が私の知らなかった多くの歴史的事件を整理してくれたことには感謝していますし、福音派の歴史について学ぶこともできました。しかし、読み進めるにつれて、著者の偏見が非常に強く、福音派のキリスト者を十分理解していないこと、そして多くの歴史的出来事の描写がしばしば一面的であることに気づきました。
まず、私の知っている多くの「福音派」を名乗るキリスト者の中には、著者の述べる終末論そのものを知らない人すらいますし、ましてやそのあまり一般的ではない終末論を理由に政治に参加する人などほとんどいません。投票行動とは非常に複雑なもので、選挙人は多様な要素を考慮し、時には社会情勢に左右されます。著者が重視する終末論と福音派のアイデンティティは、現実において重要な要因とは言えません。「終末論がアメリカを分断した」という著者の主張は、到底説得力があるとは思えません。
私が最も失望したのは、特定の歴史的出来事の“原因付け”の仕方です。二つだけ挙げます。イラク戦争の要因は非常に多岐にわたり、一つの戦争を始めることは大統領個人の意思だけで可能なものではありません。大統領個人の信仰や宗教的助言がどれほど影響したのかは疑問です。ましてや、この戦争を主導した新保守主義者(ネオコン)の多くは福音派でもキリスト者でもありません。もちろん本書の目的は歴史分析そのものではありませんが、著者がブッシュを“宗教者に洗脳された神がかり”のように単純化して描くのは、あまりに乱暴です。
国会議事堂襲撃事件についても同じです。扇動者とされるトランプは福音派ではありませんし、多くのクリスチャンから見ても「クリスチャンと呼べるのか疑わしい」人物です。この事件に関わった主要な団体も福音派の背景を持つものではなく、一部に自称“福音派”がいるとしても、彼らの主張は福音派の信仰とは全く異なります。それにもかかわらず、著者がこの出来事をまるで福音派と切り離せないかのように描くのは、本当に残念です。こうした出来事の扱い方が本書全体に見られ、詳しく調べれば調べるほど、福音派とは関係がないことが分かります。
総じて、この本を読むのであれば、他の情報源で補うことが不可欠です。
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ポロおやじ
5つ星のうち5.0 啓蒙と学識と
2025年10月25日に日本でレビュー済み
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大学で教鞭をとっている宗教学者です。啓蒙的なわかりやすさの下に深い学識を秘めている好著です。アメリカのキリスト教に興味がなくても、アメリカに興味がある人みなにオススメです。
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すみれの言葉
5つ星のうち2.0 陰謀論、極右のレッテル貼りでは世界は見えてこない。
2025年11月3日に日本でレビュー済み
福音派の歴史はあまり知らなかったので、勉強になった。
ただ、特に現代のところは疑問が多い。トランプに対しては不当に否定的。国会襲撃事件に関しては、民主党側のでっち上げであったということは、数多くの映像証拠などがあり、アメリカでは周知されていること。
また、オバマの出生証明書については、オバマの生まれたとされる病院はその時には存在していなかったなど疑惑があり、完全に陰謀論で片付けていい話ではない。
マスコミと同レベルの、陰謀論やら極右とレッテル貼りをしているのは、視野が狭くて残念。
もっと公平な視点で物事を見なければ本質的ではない。
国際情勢を語るのであれば、一歩踏み込んだリアルな見解が必要だと感じた。
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