Thursday, November 18, 2021

Amazon.co.jp: 外地巡礼 : 西 成彦: Japanese Books

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外地巡礼 Tankobon Hardcover – January 19, 2018
by 西 成彦 (著)
4.2 out of 5 stars 2 ratings




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Paperback
from ¥2,701
13 Used from ¥2,70127 New from ¥4,620




「冷戦の影響がいまでも深く刻みこまれている〈東アジア〉において〈歴史〉も〈文学史〉も何も
かもが流動的、そして進行形である。そして、それがまさに〈進行形〉であることを最もはっき
りと示しているのが各〈語圏文学〉のまさに周縁に位置している〈マージナルな文学〉なので
ある。旧来の〈日本文学〉がどこまでも〈定住民の文学〉でしかありえなかったなかに、今日の
〈日本語文学〉という広域的な人間の移動を背景にした〈移動民の文学〉を先取りするような
さまざまな様態がすでに刻みこまれていたということ(…)。リービ英雄や楊逸や温又柔らの
華々しい登場は、けっして〈現代〉にのみ特徴的なものではない」


舞台は旧植民地・占領地のみならず北海道・沖縄から南北アメリカの移住地まで。
「日本語使用者が非日本語との不断の接触・隣接関係を生きるなかから成立した文学」、
すなわち「〈外地の日本語文学〉という問題を過去に封じこめることなく、今日的な問題
としてあらためて引き受けること」。

ポーランドのイディッシュ文学、カリブ海のクレオール文学、英語で書くコンラッド、ドイツ語
で書くカフカ、アルゼンチンのゴンブローヴィチ、日本のハーン…。マイノリティの言語・文学、
あるいは異言語・異文化接触による文学的創造を一貫してたどりつづけてきた著者による
「日本語文学史」書き換えの試み。

312 pages
=====
Product description

出版社からのコメント


内容(「BOOK」データベースより)
森鴎外、佐藤春夫から津島佑子、リービ英雄、温又柔へ。旧植民地・占領地のみならず北海道・沖縄、海外移住地を舞台に織りなされた「東アジア」移動文学論。
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Product Details

Publisher ‏ : ‎ みすず書房 (January 19, 2018)
Publication date ‏ : ‎ January 19, 2018
Language ‏ : ‎ Japanese
Tankobon Hardcover ‏ : ‎ 312 pages
ISBN-10 ‏ : ‎ 4622086328
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4622086321
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あまでうす

3.0 out of 5 stars 未来の世界文学への新しい視座と展望Reviewed in Japan on March 7, 2019

こないだ、1968年に、一艙の船で南米ブラジルなどの南米諸国に渡った、日本人家族の軌跡を、半世紀に亘って取材し続けた「乗船名簿AR29」という番組をみました。

元NHKディレクター相田洋氏の執念が、乗り移ったドキュメンタリーでしたが、誰ひとり身寄りもいない外地の只中で、アマゾンの原始林を掘り起こし、新しい人生を一鍬一鍬切り開いていった勇気と忍耐に、大きな感銘を受けました。

本書の著者も指摘するように、戦争や国策、個人的な野望や失意や傷心など、様々な理由で母国を離れ、新天地で新たな自由や希望や慰藉を求めた大勢の「内地人」がかつて存在したし、いまも存在し続けています。

本書では、そのブラジルのような「外地」を舞台に、見知らぬ外国人と外国語の洗礼を受けた「内地人」が、明治維新の昔から現在にいたるまで、西欧はもとより台湾、韓国、北朝鮮、満州などの旧植民地、沖縄、北海道なども含めた広大な領域において、どのような文学体験を経てきたのか、その歴史と内実をつぶさに辿っています。

著者によれば「植民地文学」は、1)「移住者」たちの文学(北海道なら有島武郎の「カインの末裔」、小林多喜二の「蟹工船」など)、2)布教や学術研究のために訪れたインテリの先住民族文化報告(金田一京助のアイヌ研究)、3)先住民族の内部から登場したバイリンガルな表現者たちの作品(知里幸恵の「アイヌ神謡集」4)外地性を正面から受けとめようとする内地人作家の実験(中條百合子「風に乗ってくるコロボックル」、武田泰淳「森と湖のまつり」、池澤夏樹の「静かな大地」)の4つの類型に分類できるそうですが、そのことを通じて複雑にして怪奇な人間存在の暗闇が白日の元に晒されるとともに、旧来の内地プロパーの狭隘な文学観に楔が打ち込まれ、未来の世界文学への新しい視座と展望が生まれてくるように予感されるのです。

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イッパツマン

TOP 1000 REVIEWER
5.0 out of 5 stars 周縁地に広がる豊穣なる日本語文学Reviewed in Japan on May 30, 2020

 台湾、ブラジル、朝鮮など、様々な旧「外地」の作家による日本語文学(および一部の現地語文学)の歴史と現在、今後の展望を扱った論集。グローバリゼーションなどという言葉が一般化する遥か前から、「国境を超える文学」が日本語によって書かれてきたこと、そしてそのような作家達の周縁での活動を、クレオール文学のような豊かな文化世界として描こうと試みた一冊。

 知らない作家だらけだったが、特に台湾文学に対する関心が、本書により更に高まった。各作家が抱えているものの重さを考えると、現代の「内地」の作家より、余程面白い作品が並んでるのではないかとさえ予感する。


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